気管支学
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Ortho-phthalaldehyde(OPA)による呼吸器内視鏡洗浄消毒法の有効性の検討(第27回日本呼吸器内視鏡学会総会 : シンポジウム3-5)
谷川 吉政青山 昌広本多 康希辻 清太日比野 佳孝松野 匡克白木 晶滝 文孝
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2004 年 26 巻 8 号 p. 746-750

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抄録

背景. 呼吸器内視鏡施行時の安全対策の一つとして, 機器の消毒と点検は重要な事項である. 消毒薬の選択や洗浄法についてはガイドラインを遵守すべきであるが, その実践の際に各施設において必ずしも問題が無い訳ではなく, 当院でもglutaraldehyde(GA)からortho-phthalaldehyde(OPA)への消毒剤変更を要した. 目的. OPAによる呼吸器内視鏡洗浄消毒法の有効性について検討を行う. 方法. 呼吸器内視鏡検査の連続83件について, チャンネル内ブラシ洗浄後に0.55%OPA製剤にて自動洗浄機による洗浄消毒を行い, 全洗浄過程終了後の鉗子チャンネル内, 鉗子口, 吸引口について一般細菌および抗酸菌培養を行った. 結果. 83件249検体中, 11件11検体で培養陽性となった. 内訳は, 鉗子口からS. epidermidis 7検体, Propionibacterium 1検体, 吸引口からS. epidermidis 1検体であった. 抗酸菌培養はすべて陰性であった. 自動洗浄機におけるOPA濃度について検討を行ったところ, 自動洗浄機の洗浄回数の増加に伴い, 自動洗浄機薬液タンク槽内におけるOPA濃度が希釈のために著しく低下することが判明した. そのためOPA有効濃度を維持するためには適宜濃度を確認する必要があった. 結論. OPAによる内視鏡洗浄法はGAと同等の消毒効果を有しており, 安全性にも優れているが, 希釈等の消毒工程に影響する因子などにも留意し, 洗浄消毒効果が維持できているか否かは各施設で定期的に確認される必要がある.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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