気管支学
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気管支鏡検査前の血液感染症検査の必要性についての検討(第27回日本呼吸器内視鏡学会総会 : シンポジウム3-6)
渋谷 泰寛駒崎 義利林 宏紀馬場 久美子楢戸 律子上村 なつ小室 巌榎本 達治中村 清一小山 茂
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2004 年 26 巻 8 号 p. 751-756

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抄録

目的. 気管支鏡検査前の血液感染症検査は多くの施設で実施されている. 検査項目はHBs抗原, HCV抗体, 梅毒血清反応, HIV抗体の場合が多い. 一方, 包括支払制度(DRG/PPS)の導入に伴い, 日常診療での検査項目の見直しが行われている. また, 消化管内視鏡検査前血液感染症検査の必要性を再検討する動きもある. 今回我々は, 当院の気管支鏡検査前の血液感染症検査の実態を調べ, 必要性の検討を行った. 方法, 結果. 2002年1月から2003年12月までに当院で施行された気管支鏡検査406例の血液感染症検査項目と陽性率を調べた. 99.3%に感染症検査が行われており, 内訳はTPHA, HBs Ag, HCV Abが各100%, RPR 22.5%, HBs Ab 5.2%, HIV Ab 0.7%であった. 陽性率はTPHA 4.7%, HBs Ag 4.1%, HCV Ab 3.8%で, RPR, HIV Ab 0%であった. 同期間の気管支鏡検査に関連した血液汚染事故(針刺し事故を含む)の発生はなく, 気管支鏡検査を介した血液感染症発生の報告はなかった. 考察. 当院では, 患者ごとに気管支ファイバーを変えており, オルトフタルアルデヒドを使用し内視鏡自動洗浄装置で滅菌を行っている. 気管支鏡を介した血液汚染事故の発生もなく, 仮に発生したとしても24時間緊急検査を行うことが可能である. 気管支鏡検査前の血液感染症検査実施率は依然高いが, スタンダードプリコーションを遵守していれば気管支鏡検査前の血液感染症検査は不要と考えられる.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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