気管支学
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胃癌切除後5年目に気管支内腔のポリープ状腫瘍で発症した肺転移の1例
吉岡 孝張田 信吾
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キーワード: 気管支ポリープ, 胃癌
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2005 年 27 巻 6 号 p. 447-451

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抄録

背景.肺外固形腫瘍の肺転移形式のひとつにendobronchial metastasisがあるが, 切除不能例が多く予後不良である.われわれは, 胃癌のendobronchial metastasisの切除例を経験したので報告する.症例.76歳, 男性.71歳時に胃癌に対して幽門側胃切除術と肝表面転移巣の切除が行われている.健診目的の胸部レントゲンにて右下肺野の腫瘤影を指摘され, 気管支鏡にて右B^7のポリープ状腫瘍を発見された.生検の結果, 扁平上皮癌が疑われ, 原発性肺癌(cT2N0M0)として右肺中下葉切除術, 縦隔リンパ節郭清を施行した.腫瘍は明瞭な腺管を形成する異型細胞からなり, 広範な壊死を含んでいた.同一肺葉内に同様の組織からなる3個の結節が存在したことと併せ, 消化管癌からのendobronchial metastasisと考えられた.胃癌の標本と比較したところ, 両病変の組織所見は類似しており, 胃癌からの転移と診断された.結語.Endobronchial metastasis症例の予後は一般に不良とされているが, 本症例のごとく切除可能な進展様式をとり, 他臓器転移のない症例は切除を検討すべきである.

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© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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