気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
気管支-肺胞洗滌法により採取される諸成分の被採取性について
安岡 劭中山 正島田 久夫石見 寿康河野 知弘尾崎 敏夫螺良 英郎
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 3 巻 2 号 p. 145-151

詳細
抄録

気管支-肺胞洗浄(BAL)により採取される細胞と蛋白成分を分析し、その成績を間質性肺病変を主とする肺疾患の診断のために適確に利用するためには、採用しているBALの術式により各気管支-肺胞成分がどのように採取されているかを知っておく必要があろう。著者らは正常若年男子の右中葉の1区域あるいは亜区域を50mlの生食水で洗浄し、主要気管支-肺胞成分を対象とし最初の3回の洗浄液(洗浄液I)中の量と次の2回の洗浄液(洗浄液II)中の量を比較することにより、各成分の被採取性を検討した。1)細胞成分の被採取性は蛋白成分のそれより低く、洗浄液IIに洗浄液Iの細胞の60%に相当する量が採取されていた。しかし洗浄液IとIIの細胞分類像は等しく、細胞分類を目的とする場合には3回の洗浄で充分と考えられる。2)蛋白成分の中で主に肺胞成分とされているアルブミンとIgGの被採取性はほぼ等しく、アルカリホスファターゼの被採取性も前二者のそれに近いと考えられた。3)リゾチームの被採取性は前記3種の蛋白のそれより高く、本酸素がこれらの蛋白より、より中枢側、に局在する可能性も想定された。

著者関連情報
© 1981 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top