気管支学
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気管支鏡にて菌球を直接観察し得た慢性壊死性肺アスペルギルス症の1例
杉山 暁子八木 健郎馬場 研二河合 聖子小野江 和之服部 努山口 悦郎
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2008 年 30 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

症例.77歳男性.2006年3月,体重減少と労作時呼吸困難を主訴に入院した.2005年5月に胸部X線写真で左肺尖ブラ内に菌球の存在が示唆された既往があるが,受診を自己中断していた.入院時,左肺尖の菌球像は当時より増大しており,血清学的検査ではアスペルギルス抗原が陽性であった.気管支鏡検査では,左B^3bの内腔に菌球を直視した.菌球の表面は凹凸で黄白色の膿状分泌物に覆われ,種子様の顆粒がそこに埋没しているような外観であった.この時採取した気道内分泌物の培養で,アスペルギルスを示唆する真菌が検出された,これらの臨床経過及び所見より,慢性壊死性肺アスペルギルス症と診断した.ミカファンギン及びボリコナゾールの経静脈投与の後,イトラコナゾール200mg/日の経口投与で治療を継続した.6ヶ月後には菌球の体積は約44%縮小した.結論.本症例は,内視鏡でアスペルギルスの菌球を直接観察し,抗真菌薬の全身投与に加え,内視鏡を介しての局所投与の可能性をも展望させる症例であった.

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© 2008 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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