気管支学
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広範なリンパ管侵襲を呈した定型的肺カルチノイドの1例
木下 桂一加賀 基知三
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2008 年 30 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

背景.肺・気管支カルチノイドは,原発性肺腫瘍のうち1〜2%と比較的稀な疾患である.病理組織学的には,定型的カルチノイド(typical carcinoid)と非定型的カルチノイド(atypical carcinoid)に分類される.定型的は,非定型的に比べ,リンパ節転移の頻度も少なく予後良好であるといわれている.今回,広範なリンパ管侵襲を呈した定型的肺カルチノイドの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例.56歳,女性.健診の胸部X線写真で左中肺野に直径10mm大の結節影を指摘された.胸部CTにて左肺S^8に直径12×9mmの結節性病変を認められ,気管支鏡下生検にて定型的カルチノイドと診断された.手術は胸腔鏡下左肺下葉切除と系統的リンパ節郭清術を施行した.切除検体の病理組織所見では,腫瘍細胞が小胞状の増生を示し,壊死巣,核分裂像は認めず,免疫組織染色でChromograninA(+),MIB-1 index1%未満のため,定型的カルチノイドと確定診断した,しかし,腫瘍の局在は結節部に限局せず,著明なリンパ管侵襲により広範に進展しており,定型的カルチノイドとしては非典型的であった.結論.定型的カルチノイドであっても,リンパ管侵襲の可能性を考慮すべきである.

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© 2008 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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