2009 年 31 巻 2 号 p. 95-98
背景.原発性気管癌はまれである.患者平均年齢は50〜60歳で男性が60〜85%を占めるなか,非喫煙30歳代女性に発生するのは珍しい.我々は気管狭窄にて手術を施行した気管癌の1症例を経験したので報告する.症例.38歳女性.気管支喘息として加療をうけるも,症状改善せず.他院に救急搬送され呼吸器科受診を勧められた.前医の胸部CTにて上縦隔に腫瘤陰影,気管圧排を指摘されたため,当科紹介.腫瘍による窒息の回避目的にて手術施行.気管腫瘍は気管へ3軟骨輪分浸潤していた.また腫瘍は左反回神経を巻き込み,食道周囲結合組織に浸潤していたが合併切除できた.術後反回神経麻痺,嚥下障害,肺炎となるも治療リハビリにより改善し術後36日目に退院.結論.まれな原発性気管癌に対し完全切除が可能であった.