2012 年 34 巻 1 号 p. 54-57
背景.薬剤性肺障害は種々の薬剤によって発生する.今回我々は,薬剤中止後ステロイドを使用せずトシル酸スプラタスト併用で改善したカルボシステインによる薬剤性肺障害を経験した.症例.30歳の男性.インフルエンザAに罹患してオセルタミビルとカルボシステインを投与されたが,服薬5日後も発熱と咳嗽が持続したため近医に入院.その後胸部X線写真の浸潤影が悪化して,当院転院になった.カルボシステインを中止し,トシル酸スプラタストを使用して改善した.カルボシステインに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性であり,同剤による薬剤性肺障害が疑われた.結論.カルボシステインは日常臨床で広く使用されている薬剤であり,その薬剤性肺障害の可能性を念頭において診療に当たることが大切である.さらにトシル酸スプラタストは薬剤性肺障害の治療薬として使用可能な薬剤であると考えられた.