気管支学
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肺癌精査中に偶然発見された気管支顆粒細胞腫の1例
上遠野 健久保田 勝日吉 康弘林 伸充大谷 咲子高倉 晃横場 正典益田 典幸
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キーワード: 気管支顆粒細胞腫, 肺癌
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2012 年 34 巻 1 号 p. 74-79

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抄録

背景.気管支顆粒細胞腫は比較的稀な腫瘍であるが,本邦ではこれまで5例の肺癌合併例の報告がある.症例.44歳男性.血痰,咳嗽を主訴に近医を受診.胸部X線にて左上肺野空洞性病変を指摘され当院を紹介受診.胸部CTでは左S^<1+2>に空洞を伴う6cm大の腫瘤影を認めた.気管支鏡検査で左上葉空洞性病変は非小細胞肺癌と診断.また対側の右上葉入口部に表面平滑黄白色の隆起性病変を認め,直視下生検を施行.好酸性微細顆粒状細胞質に富んだ類円形細胞のシート状増生所見を認め,抗S-100抗体染色,抗NSE抗体染色ともに強陽性であり顆粒細胞腫と診断.左上葉非小細胞肺癌に対しては胸腔鏡補助下左上葉切除術を施行,顆粒細胞腫は経過観察中である.結論.気管支顆粒細胞腫は稀な腫瘍であるが,気管支鏡検査での偶然発見例も報告されている.気管支鏡検査時には非病変側を含めた気管支内腔の観察が必要である.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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