2015 年 37 巻 4 号 p. 393-398
背景.陳旧性粟粒結核に合併した気管支結石症による喀血の報告例は稀である.症例.粟粒結核治療歴のある73歳男性. 2004年から小喀血を繰り返し当院で保存的治療を継続していた. 2010年喀血が頻回・大量となり入院.気管支鏡にて右B^2に気管支結石を認めた.保存的治療では喀血のコントロールがつかず右肺上葉切除術を行った.喀出された粟粒結核の石灰化巣が気管支内に陥頓し,気管支結石症を発症したと考えられた.結語.稀ではあるが陳旧性粟粒結核に気管支結石症が合併して,喀血の原因となりうることを念頭に置くべきである.