気管支学
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気管膜様部に発生した粘液貯留嚢胞の1切除例
中野 貴之張 性洙岡本 卓
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キーワード: 気管, 貯留嚢胞, 膜様部
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2015 年 37 巻 4 号 p. 419-422

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抄録

背景.気管嚢胞の報告はほとんどない.今回,気管膜様部に発生した気管嚢胞の1切除例を経験した.症例. 57歳女性.右背部痛を主訴に撮影した胸部CTで気管壁に8×10mm大の腫瘍性病変を指摘された.気管支鏡検査では,気管膜様部に直径1cm程度の表面平滑な弾性硬の腫瘍性病変を認めた.生検鉗子が滑るため気管支鏡下生検は施行できず,悪性腫瘍も否定できないため外科切除を施行した.約1cmの腫瘍が気管膜様部に存在し,術野挿管も併用しつつ腫瘍を含めて3気管軟骨輪の長さで気管管状切除を施行した.吻合は吸収性モノフィラメント糸で施行し,有茎性心膜脂肪織で被覆した.病理所見では気管腺の導管が拡張して生じた粘液貯留嚢胞(mucinous retention cyst)と考えられた.結語.気管嚢胞は稀であり報告した.気管腫瘍の鑑別診断には粘液貯留嚢胞も考慮すべきである.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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