2015 年 37 巻 5 号 p. 521-525
背景.近年,検診やCT撮影機会の増加などにより,同時性多発肺癌が疑われる症例の発見機会が増えることが予測される.症例.症例は81歳,男性.胸部CTにて右下葉結節影と右肺門・縦隔リンパ節腫脹を認めたため当院を紹介受診した. FDG-PETでは右下葉結節影とリンパ節にいずれも集積を認めたが,集積度が異なっていた.同時性多発肺癌の可能性を考え,右下葉結節に対してTBLBを,縦隔リンパ節に対してEBUS-TBNAを施行し,それぞれ扁平上皮癌,小細胞癌と診断した.結論. FDG-PETで集積度が異なる複数の病変を認めた場合には同時性多発肺癌や他疾患合併の可能性を疑い,適切な生検方法を用いてそれぞれの病変から組織を採取すべきである.