気管支学
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メサラジンによる薬剤性好酸球性肺炎の1例
菊池 亮太伊藤 昌之仙波 征太郎宇留間 友宣辻 隆夫渡邉 秀裕中村 博幸青柴 和徹
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2015 年 37 巻 5 号 p. 526-531

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抄録

背景.メサラジン(mesalazine,ペンタサ^[○!R])は炎症性腸疾患の治療に用いられる薬剤であるが,本剤による好酸球性肺炎の症例を経験したので報告する.症例. 74歳男性.当院消化器内科で潰瘍性大腸炎と診断され,メサラジン(mesalazine,ペンタサ^[○!R])を開始した1カ月後に発熱と咳嗽が出現したため当科を受診した.胸部CTにて両上葉にすりガラス影と浸潤影,気管支肺胞洗浄液で好酸球数の増加,経気管支肺生検では肺組織にリンパ球と好酸球の浸潤を認め,メサラジンによる薬剤性好酸球性肺炎と診断した.メサラジンを中止してプレドニゾロン(prednisolone, 0.5mg/kg/日)を開始したところ,臨床症状と胸部画像所見は速やかに改善した.結論.メサラジンによる薬剤性肺障害は稀であるが,炎症性腸疾患の患者に生じた肺病変では,感染症や炎症性腸疾患の腸管外病変とともに薬剤性肺障害の可能性も考慮して,気管支鏡検査による鑑別診断が必要と思われた.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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