2017 年 39 巻 1 号 p. 48-52
背景.先天性気管支閉鎖症は稀な疾患だが,画像技術の進歩により術前診断が可能となり,近年報告例が増えている.無症状で発見される例も少なくなく,本疾患に対して外科的切除を行うべきかについては一定の見解が得られていない.症例.32歳,男性.健診での胸部X線写真で異常を指摘され,近医で施行された胸部CTでは右上葉S2に限局性の気腫性変化,液面形成を呈し壁肥厚を伴う囊胞状に拡張した気管支を認め,精査治療目的で当院に紹介となった.画像所見および気管支鏡検査所見から先天性気管支閉鎖症と診断し,感染の合併も否定できなかったため,右上葉切除術を施行した.手術で摘出された検体では囊胞内に膿性分泌物を認め,細菌学的検査を行ったところ,塗抹標本ではグラム陰性桿菌を認めたが培養検査では陰性であった.16S ribosomal RNA遺伝子を用いた細菌叢解析法ではPrevotella spp.をはじめとする口腔内嫌気性菌が多数検出され,不顕性感染が示唆された.結論.先天性気管支閉鎖症では無症状でも不顕性感染を生じている可能性があり,外科的治療を検討する必要がある.