水環境学会誌
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調査論文
下水処理場の窒素排出量増加運転が瀬戸内海播磨灘の有機物及び栄養塩の海水中濃度に与える影響評価
鈴木 元治中谷 祐介古賀 佑太郎
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2020 年 43 巻 2 号 p. 43-53

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抄録

瀬戸内海播磨灘において, 貧栄養化対策として実施されている下水処理場の窒素排出量増加運転が, 有機物, 窒素及びりんの表層海水中濃度に与える影響を評価した。まず, 窒素排出量増加運転を実施している二見浄化センターの周辺海域を調査した。その結果, 窒素排出量増加運転による有意な水質変化は観測されなかった。つぎに, 数値モデルを用いて, 兵庫県下20か所の下水処理場が窒素排出量増加運転を実施した場合について解析した。その結果, 溶存無機態の窒素及びりんは植物プランクトンに取り込まれ, 植物プランクトンが移流拡散することで, 灘全体にわたり有機物と窒素濃度が上昇することが推算された。観測値には, 海水による希釈や他の窒素排出源の影響により, 窒素排出量増加運転の影響が確認できなかったと考えられるが, 今後, 窒素排出量増加運転の実施処理場が増えた場合には, 播磨灘の広範囲の水質に影響を及ぼし得ることが示された。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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