気管支学
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症例
非侵襲的陽圧換気療法補助下での経気管支肺生検が有用であった重症呼吸不全の1例
梶原 浩太郎甲田 拓之加藤 高英波呂 祥濱口 直彦牧野 英記兼松 貴則
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2017 年 39 巻 2 号 p. 176-180

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抄録

背景.免疫抑制療法を受けている患者の呼吸不全では,非侵襲的検査で診断が付かず,気管支鏡による微生物・病理学的検査を要することがある.しかし,重症呼吸不全において気管支鏡検査はしばしば困難である.症例.60歳女性.関節リウマチのためプレドニゾロンとメトトレキセートによる免疫抑制療法を受けていた.2014年11月より呼吸困難が出現し,positron emission tomography-computed tomographyで18F-fluorodeoxyglucose集積のある両肺野のびまん性浸潤影・結節影を指摘された.メトトレキセートを中止されたが肺病変が増悪し,重症呼吸不全のため当院に入院した.血清学的検査で呼吸不全の原因は不明であり,重症呼吸不全が持続したため非侵襲的陽圧換気療法補助下で気管支鏡による経気管支肺生検を施行した.気管支鏡検査中は酸素化は保たれ,合併症なく検査を終了した.関節リウマチによる二次性器質化肺炎と診断し,ステロイド治療が奏効して自宅退院した.結論.十分なリスク管理のもと,非侵襲的陽圧換気療法補助下での気管支鏡検査は確定診断のための選択肢となり得る.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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