気管支学
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症例
気管内転移を呈した無色素性悪性黒色腫の1例
西井 洋一斎木 晴子坂口 直伊藤 健太郎林 香介渡邊 文亮畑地 治小林 哲高尾 仁二Gabazza E. C.田口 修
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2017 年 39 巻 5 号 p. 407-411

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抄録

背景.悪性黒色腫の気管・気管支内転移はしばしば報告されるが,無色素性悪性黒色腫(amelanotic malignant melanoma:AMM)の気管へ直接転移である気管内転移を呈する報告はない.症例.93歳,女性.2004年2月より紅色調の踵部腫瘤性病変を認め,組織にてAMMと診断された(T4aN1bM0,stage IIIB).化学放射線療法により腫瘍は原発,リンパ節転移ともに著明に縮小したが,経過中に喉頭部に吸気性喘鳴,SpO2の低下があり,胸部CTにて気管をほぼ閉塞する占拠性病変を認めた.気管分岐部より口側に気管壁を茎の起始部とする表面滑沢で結節状の腫瘍性病変を認め,気道閉塞が懸念されたため軟性気管支鏡下に高周波スネアを用いて病巣を切除,同部位を止血目的にargon plasma coagulation(APC)にて焼灼した.病理組織で踵部AMMと同様であり気管内転移と診断され,後日残存部に外照射を追加(32 Gy/8 fr)した.結語.本症例は,肺内病巣,リンパ節転移からの気道内進展でなく気管への直接転移を来したAMMの気管内転移症例で,非常に稀であり,有意義な処置であったと考えられたため報告する.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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