気管支学
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症例
進行肺癌に併発した続発性気胸に対するEWS充填術―気漏が停止し抗癌剤治療を行い得た2例―
戸井 之裕石本 修川名 祥子清水 恒杉坂 淳小野 紘貴相羽 智生中村 敦木村 雄一郎菅原 俊一
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2017 年 39 巻 5 号 p. 412-417

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抄録

背景.手術適応のない続発性気胸に対するEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)充填術の有効性は知られているが,進行肺癌に併発した続発性気胸に対するEWS充填術の報告は少ない.症例.症例1:63歳,男性.X年6月右胸水精査目的に当院へ入院した.胸腔ドレーンを挿入し胸水より肺腺癌と診断された.挿入時より気漏は遷延し,肺癌による続発性気胸と判断しEWS充填術を施行した.右B2,B3に挿入し,その後胸膜癒着療法を繰り返し施行し,気漏は停止した.その後抗癌剤治療を開始した.症例2:64歳,男性.Y-8年右肺腺癌と診断し抗癌剤治療を開始した.Y年1月抗癌剤三次治療の経過中,突然の呼吸困難を自覚し当科へ救急搬送.左気胸のため緊急入院となり胸腔ドレーンを挿入した.気漏は遷延し,COPDの続発性気胸と判断しEWS充填術を施行した.左B3c,B6にEWSを充填し,胸膜癒着療法を3回施行したところ気漏は停止し,抗癌剤治療を再開した.結語.進行肺癌に併発した続発性気胸に対してEWS充填術が有効であり,その後抗癌剤治療が奏効した2例を経験した.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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