気管支学
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症例
肺および気管内に多発する病変を認めたメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の1例
鳥井 亮野口 真吾島袋 活子吉井 千春矢寺 和博
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2017 年 39 巻 5 号 p. 430-435

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抄録

背景.メトトレキサート(methotrexate:MTX)関連リンパ増殖性疾患はしばしば散見されるが,肺病変をきたす報告は少なく,また,気管内病変を気管支鏡検査にて直接確認し得た症例は,非常に稀である.症例.73歳,女性.関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に対して,2011年6月よりMTX・サラゾスルファピリジンによる治療が開始された.2014年11月に咽頭痛・右扁桃腫大が出現し,MTX関連リンパ増殖性疾患が疑われた.その後,MTXを中止し,咽頭痛は改善した.しかし,4カ月後(2015年2月)に症状の再燃を認めた.また,同年3月の胸部CTにて肺多発結節影が出現し,6月の胸部CTにて陰影の増悪を認めたため,当科紹介となった.気管支鏡検査の結果,気管内に多発する隆起性病変を認め,肺・気管内病変の生検より悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)の病理所見が得られ,臨床経過と合わせ,MTX関連リンパ増殖性疾患と判断した.結語.RA患者に対してMTXなどの免疫抑制剤使用中に肺内および気管支内に多発する病変を認めた場合には,本疾患の可能性も念頭に置く必要がある.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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