2018 年 40 巻 1 号 p. 63-67
背景.クリプトコッカス症は健常者では肺結節影を呈することが多いが,免疫不全患者ではときに肺野に陰影を認めず,縦隔,肺門などのリンパ節腫大のみが認められる.症例.20歳男性.急性リンパ性白血病の化学療法中に持続する発熱を来し,CTで縦隔および左肺門リンパ節腫大を指摘された.縦隔リンパ節へ超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)を施行し,検体中に酵母様真菌を認めた.血清クリプトコッカス抗原陽性と合わせて,クリプトコッカスリンパ節炎と診断した.また髄液細胞数増加を認め,縦隔リンパ節炎を伴う播種性クリプトコッカス症と診断した.アムホテリシンBリポソーム製剤とフルシトシンによる導入治療で軽快し,フルコナゾールによる維持治療に切り替えたのちも再燃を認めずに経過した.結論.免疫不全患者に縦隔,肺門リンパ節腫大を認めた場合はクリプトコッカス症も鑑別となるため血清抗原を測定する意義は高く,確定診断にはEBUS-TBNAが有用と思われる.