2018 年 40 巻 1 号 p. 59-62
背景.Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)を用いた気管支充填術は難治性気漏や有瘻性膿胸,さらには喀血に対する有効な治療法として幅広く用いられているが,長期留置に関する報告は少ない.症例.46歳女性.24歳時に浸潤性胸腺腫で手術したが,すでに左胸膜播種があり左肺舌区も合併切除した.16年後に左胸腔内再発をきたし,抗癌剤治療後に胸壁を含む摘出術を施行したが術後気漏が遷延した.再手術したが瘻孔を閉鎖することができなかった.最終的にEWSを左上区気管支に充填することで気漏を停止できた.気瘻再発を防止するためEWSは抜去していないが,呼吸器合併症なく6年を経過した.結論.EWSは6年以上の長期留置も可能である.