気管支学
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症例
特発性脊柱側彎症による気道狭窄に対して胸椎後方矯正固定術が有効であった1例
赤堀 大介横村 光司金田 桂後藤 彩乃小谷内 敬史天野 雄介角谷 拓哉須田 隆文
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2019 年 41 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

背景.特発性脊柱側彎症に伴う呼吸機能障害は整形外科的治療により改善することが知られているが,成人の報告例は少ない.症例.青年期より脊柱側彎症を指摘されている63歳女性.数年前から自覚していた就寝時の呼吸困難が咳嗽と喀痰を伴い増悪したため,前医を受診.拘束性換気障害に加え呼気中一酸化窒素濃度の軽度上昇があり,下気道感染を繰り返すことから,吸入ステロイド薬/長時間作用性吸入β刺激薬配合剤とマクロライド少量長期投与療法が開始されたが無効であり,当科に紹介となった.呼吸困難は就寝時,とりわけ仰臥位で増強し,側臥位や腹臥位で軽減した.胸部CTでは右中間幹が椎体の前面で扁平狭小化しており,胸郭変形に伴う気道狭窄が症状の主因と考えられた.脊柱側彎症に対して胸椎後方矯正固定術を施行したところ,自覚症状・気管支狭窄所見・肺機能の改善が得られた.結論.高度の脊柱側彎症に伴う気道狭窄には,脊柱矯正固定術が有効な治療選択となる可能性がある.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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