2019 年 41 巻 3 号 p. 262-267
背景.進行性に増大する縦隔腫瘤影の原因が,老人性全身性アミロイドーシス(senile systemic amyloidosis:SSA)に伴うリンパ節腫大であったという報告はこれまでにない.症例.81歳の男性.意識障害で当院に救急搬送され,胸部CTにて一塊となった多発縦隔リンパ節腫大および右腋窩リンパ節腫大を指摘された.腫大した右腋窩リンパ節のCTガイド下生検および縦隔リンパ節の超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)の結果,トランスサイレチン(transthyretin:TTR)陽性のアミロイド沈着を認めた.血液検体を用いたTTR遺伝子検査の結果からSSAと診断した.過去のCT画像と比較検討し,縦隔リンパ節が経時的に増大し巨大な腫瘤影をきたしたものと考えられた.結論.縦隔腫瘤に対するEBUS-TBNAを行い,SSAによる縦隔リンパ節腫大と診断した症例を経験した.