気管支学
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症例
局所麻酔下胸腔鏡におけるクライオ生検が悪性リンパ腫の診断に有用であった1例
髙田 創岡本 紀雄高田 宏宗益弘 健太朗那須 信吾森田 沙斗武田中 彩子白山 敬之鈴木 秀和平島 智徳
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2019 年 41 巻 4 号 p. 364-369

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抄録

背景.呼吸器領域の悪性リンパ腫の診断において,肺野もしくはリンパ節の生検では診断に至らない場合があり,局所麻酔下胸腔鏡下の胸膜生検が診断に有効となる症例もある.症例.77歳,男性.発熱を契機に,胸部CT検査で右肺門と縦隔,右鎖骨上窩のリンパ節腫大を指摘された.悪性疾患の疑いで,経気管支生検やEBUS-TBNA,鎖骨上窩リンパ節摘出生検を行うも,悪性リンパ腫の確定診断に至らなかった.その後,右胸水貯留を認め,局所麻酔下胸腔鏡下で生検を行ったところ鉗子生検,クライオ生検のいずれの検体からも,縦隔リンパ節に初発したびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と確定診断に至った.検体においてはクライオ生検検体の方が鉗子生検検体よりサイズが大きく挫滅が少なく,胸膜下脂肪織浸潤が確認できたのはクライオ生検検体のみであった.結論.局所麻酔下胸腔鏡におけるクライオ生検は,悪性リンパ腫の確定診断に有用である可能性が示唆された.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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