気管支学
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症例
大腸癌気管分岐部転移に対し気管支動脈塞栓術後にDumon Yステントを留置した1例
瀧川 雄貴佐藤 賢南 大輔西村 淳尾関 太一大川 祥高田 健二萱谷 紘枝藤原 慶一柴山 卓夫
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2019 年 41 巻 4 号 p. 401-406

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抄録

背景.大腸癌の気管分岐部転移は非常に稀であるが,気道狭窄により致命的になり得る.硬性気管支鏡下シリコンステント留置前に,出血のリスク軽減,腫瘍縮小による呼吸状態の改善を期待し気管支動脈塞栓術を行うことで,合併症なく安全にステント留置を行うことができた1例を経験したため報告する.症例.58歳男性.大腸癌気管分岐部転移に対する気道ステント留置目的で当院に転院となった.肺音は左肺で減弱,経鼻酸素5 l/分投与下で酸素飽和度は98%であった.胸部CTでは左主気管支入口部は腫瘍で閉塞しており,軟性気管支鏡下観察では気管分岐部に易出血性の分葉状腫瘤を認めた.ステント留置前に,腫瘍への栄養動脈に対してゼラチンスポンジによる気管支動脈塞栓術を施行した.その後,硬性気管支鏡下に高周波スネアを用いて切除を行い,Dumon Yステントを留置した.術中に少量出血を認めた以外は合併症なく経過,術直後より酸素投与は不要となった.結論.気管支動脈塞栓術施行後のシリコンステント留置にてoncologic emergencyから救命した1例を経験したので報告する.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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