気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
症例
切除支援気管支鏡下肺マッピング(VALMAP)を用いて肺部分切除術を行った肺原発髄膜腫の1症例
末吉 国誉小島 史嗣大坪 巧育廣田 晋也板東 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 43 巻 4 号 p. 388-392

詳細
抄録

背景.中枢神経系外に発生する髄膜腫は稀であり,とりわけ肺原発髄膜腫の報告は国内外合わせても数十例に留まる.今回われわれは,画像所見で肺癌を疑い,切除支援気管支鏡下肺マッピング(virtual-assisted lung mapping:VALMAP)を併用して肺部分切除を行うことで診断および治療し得た肺原発髄膜腫の症例を経験したので報告する.症例.68歳,男性.胸部CT検査で左肺下葉の縦隔側に経時増大する6.8 mm の充実性結節が指摘された.原発性肺癌cT1aN0M0の疑いで,術前のVALMAPによる腫瘍近傍の色素マーキングを参考に,胸腔鏡下左下葉部分切除術を行った.迅速病理組織検査で髄膜腫様の所見だったため,手術を終了した.永久病理標本の組織学的・免疫組織学的評価では移行型髄膜腫(WHO grade I)の診断であり,頭部および脊髄画像評価において中枢神経髄膜腫が否定されたことと合わせて,肺原発髄膜腫と診断した.結論.増大傾向を示す肺腫瘤の鑑別として肺原発髄膜腫も考慮することが望ましいが,疾患頻度の観点から術前予想は困難なことが多い.本症例ではVALMAPを補助的に用いることで病変の位置の推定が容易になり,肺切除範囲を小さく抑えられた.

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top