2021 年 43 巻 6 号 p. 614-618
背景.同一リンパ節病巣内に活動性結核と悪性腫瘍の転移を同時に認めることは稀である.超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)の普及および技術向上により胸腔内のリンパ節病変に対する高い正診率が得られている.症例.78歳男性.舌扁平上皮癌と膵原発悪性リンパ腫の治療歴がある.嗄声を契機に造影CTで内部に低吸収域を伴う左縦隔および肺門リンパ節腫大を指摘され,当科に入院となった.腫大した左下部気管傍リンパ節(#4L)に対してEBUS-TBNAを施行した結果,病理組織検査で舌扁平上皮癌のリンパ節転移と診断し,さらに細菌学的検査で結核菌を検出した.結論.舌扁平上皮癌の縦隔リンパ節転移再発の同一病巣内にリンパ節結核を合併した症例を経験した.画像所見が類似する両疾患が胸腔内リンパ節に合併した報告はこれまでになく,低侵襲であるEBUS-TBNAにより診断し得た.