気管支学
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症例
喘息の急性増悪に対するステロイド治療中に気管支鏡検査で診断した単純ヘルペス気管気管支炎の1例
山村 啓之田中 希宇人梅本 真太郎倉林 瞭由井 照絵大津 陽新家 葉子堀内 淳郎長村 義之宮尾 直樹
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2023 年 45 巻 1 号 p. 55-58

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抄録

背景.ステロイド加療中に単純ヘルペス気管気管支炎を発症した1例を経験した.症例.73歳女性.喘息の急性増悪に対してステロイド加療中に咳嗽や喀痰の増加を認めたため気管支鏡検査を施行した.内腔は気管から気管支にかけて白苔付着を認めた.カンジダ感染症を疑い抗真菌薬による加療を開始したが症状は改善せず,再度気管支鏡検査を施行した.喀痰細胞診,気管支生検から核内封入体,すりガラス様変化を伴う細胞を多数認め単純ヘルペスウイルス感染症が疑われた.また気管組織から核内封入体様の所見と,封入体を含むヘルペスウイルス感染細胞が免疫染色で認められた.アシクロビル投与で症状は改善し気管支鏡で白苔の消失も確認した.結論.単純ヘルペス気管気管支炎は稀な疾患であり,肉眼的にはカンジダ感染症との鑑別が困難である.診断には気管支鏡による気管粘膜生検が有用である.

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© 2023 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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