気管支学
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症例
超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)で診断した肺内神経鞘腫の1例
遠藤 哲史似内 貴一辻榮 克也西垣 豊佐藤 啓介秋葉 裕二
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2023 年 45 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

背景.神経鞘腫はSchwann細胞に由来し,末梢神経の存在する部位から発生し得るが,胸腔内では後縦隔や胸壁発生が比較的多いとされている.肺内,気管支発生例は稀であり外科的に診断されることが多いが,今回我々は超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)で診断し,経過観察した症例を経験した.症例.77歳男性.前医入院中の胸部CTで左肺下葉中枢側に3.3 cm大の腫瘤を認め,当科紹介.気管支鏡検査では気管支内腔の明らかな不整像なく,左B6入口部から左底幹の外側方向に不均一な低エコーの腫瘤性病変を確認し,EBUS-TBNAを施行.病理組織よりS-100蛋白陽性の紡錘形細胞の柵状配列を認め,神経鞘腫と診断した.採取検体からは明らかな悪性所見なく,手術を希望しなかったため経過観察とし,診断後2年経過したが増大を認めていない.結語.EBUS-TBNAで診断した肺内神経鞘腫は稀であり報告した.腫瘍増大による閉塞症状や稀に悪性転化の報告,また手術回避にて悪性所見を見逃す可能性があり,慎重な経過観察が必要である.

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© 2023 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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