気管支学
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原著
マルチ呼吸機能測定装置(FB-8010)を用いた気道狭窄の評価
西根 広樹平本 雄彦松澤 慎木田 博隆半田 寛丸田 勝弘井上 健男宮澤 輝臣峯下 昌道
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2023 年 45 巻 2 号 p. 82-88

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抄録

背景.高度の気道狭窄では気流制限による呼吸困難や,換気・血流不均衡による呼吸不全を来す.我々は以前から呼吸器インターベンションにおける局所肺機能の評価の重要性を報告してきた.2020年1月にマルチ呼吸機能測定装置(FB-8010)が医療機器として認証された.目的.気道狭窄症例に対し,気管支鏡下にマルチ呼吸機能測定装置で気流制限と換気・血流不均衡を評価した.方法.ダブルルーメンカテーテルで2か所の気道内圧を同時に測定し,2点間の圧較差を計算した.さらに2か所の気道内圧から圧圧曲線を描出し,吸気と呼気のピークを結んだ線と基線でできる角度を計測した.また,シングルルーメンカテーテルで目標部位での酸素分圧,二酸化炭素分圧を測定した.結果.気道狭窄部位で圧較差が生じ,圧圧曲線の角度は小さくなった.ステント留置で気流制限が解除されると圧較差は消失し,圧圧曲線の角度は45度に近づいた.また気管支が高度に狭窄している側では,健側と比べて酸素分圧の波形の基線が低く推移したが,二酸化炭素分圧は左右の気管支で大きな差はみられなかった.治療で気道が開存すると,酸素分圧の波形の基線は左右差がほぼ消失した.結論.マルチ呼吸機能測定装置は,気管支鏡下に局所肺機能が評価できる新しい医療機器である.気道内圧と酸素分圧,二酸化炭素分圧の測定で病態の把握,治療の効果判定をリアルタイムに評価できた.

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© 2023 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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