気管支学
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気管・気管支腺の構造と機能
岡田 慶夫
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1985 年 7 巻 4 号 p. 384-397

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抄録

気管・気管支腺は, 主として漿液細胞と粘液細胞との2種類の分泌細胞によって構成されている外分泌腺である。この腺はあらゆる動物のなかでヒトにおいて最も発達しており, 粘液多糖類をはじめ各種ライソゾーム酵素や分泌型IgA等の多くの気道内防御物質を旺盛に産生している。すなわち, ヒトにおいては気道内分泌機構のうちの重要な部分がこの腺に集中している観がある。この腺の分泌はコリン作働性物質の投与によって促進される。この腺は胎生期後半において急速に発達, 分化するが, 実験的研究によれば, 生後傷害をうけた場合には気道上皮の再生増殖に伴って再生する。軽度の刺激や傷害作用では漿液細胞/粘液細胞の比率はほぼ不変であるが, 慢性気管支炎等ではこの比率はしばしば低下する。腫瘍性変化を来す場合も稀ではなく, ヒトの腺癌において少なくともその10%近くが気管・気管支腺由来であると考えられる。

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© 1985 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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