1985 年 7 巻 4 号 p. 406-413
1980年1月∿1984年12月の最近5年間に当科で実施したびまん性肺疾患に対するTBLBの成績を検討し, 診断率の面からTBLBの適応と限界について若干の考察を加えた。対象とした症例は, びまん性肺疾患132例のうち, 特発性間質性肺炎43例, サルコイドーシス33例, 過敏性肺臓炎22例, びまん性汎細気管支炎19例である。疾患別診断率は, 特発性間質性肺炎69.7%, サルコイドーシス57.6%(I期36.8%, II期81.8%, III期100%), 過敏性肺臓炎90.1%, びまん性汎細気管支炎57.9%であった。特異性が高い組織学的所見のあるサルコイドーシス, 過敏性肺臓炎では診断率が高く, TBLBの有用性が確認された。一方, 特発性間質性肺炎, びまん性汎細気管支炎では組織学的特異性に乏しく, 評価可能な検体を採取するのが比較的困難であるため診断率はやや低かった。疾患別平均採取検体数は, 特発性間質性肺炎4.1個, サルコイドーシス3.5個, 過敏性肺臓炎3.6個, びまん性汎細気管支炎3.4個であった。採取検体数はTBLBの合併症との兼ね合いを考慮すると4個が妥当である。