1985 年 7 巻 4 号 p. 431-439
肺感染症, 特に塗抹陰性肺結核や肺真菌症, P. carinii肺炎について, TBLBの適応と限界を検討した。入院時塗抹陰性肺結核57例にTBLBを施行し, 33例(57.9%)に結核に矛盾しない所見が得られた。気管支内採痰, TBLB翌日の塗抹をあわせると, 38例(66.7%)に肺結核の早期診断を得た。肺真菌症に対するTBLBの確診率は, 肺クリプトコッカス症12例中11例(91.7%), 肺アスペルギローマ3例中2例(66.7%)で, 気管支内採痰や喀痰培養に比べ優れていた。P. carinii肺炎では6例中3例にTBLBを施行し, いずれにもP. carinii虫体を証明した。また, 6例中5例にBALを施行し, いずれにもP. cariniiを証明した。したがってP. carinii肺炎の診断にはTBLBおよびBALともに有用であることを示した。以上のことから, これらの肺感染症においてはTBLBは有用で, 気管支内採痰, TBLB翌日痰, BALを併用することにより, さらに診断率が向上するものと考えられた。