抄録
食道造影または食道内視鏡にて他臓器浸潤が疑われる進行食道癌43例に対し術前気管支鏡検査を施行し, その気管・気管支浸潤の有無, 程度を気管支鏡所見にて分類, 評価した。浸潤を示唆する所見を強い順に〔⫲〕, 〔+〕, 〔±〕, 〔-〕の4型に分け対象をみると、〔⫲〕5例(12%), 〔+〕12例(28%), 〔±〕13例(30%), 〔-〕13例(30%)と何らかの異常所見が70%に認められた。浸潤を示唆する所見は気管下部から左主幹膜様部にみられることが多く, またIuおよびImの食道癌の原発巣からの直接浸潤によるものが多かった。さらに, 浸潤を示唆する所見の程度と切除率および手術所見との対応をみると, 〔+〕以上では良好な相関関係を有していた。気管支鏡検査は進行食道癌において術前検査法として, また手術適応の決定などに有意義と思われた。