気管支学
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気管, 気管支および肺の生検の 25 年の経験
人見 滋樹
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1986 年 8 巻 4 号 p. 412-420

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抄録

呼吸器疾患の診断法としての各種生検法に関する25年間の経験を述べた。硬生気管支鏡, 開胸肺生検, 経気管支的肺生検, 胸腔鏡検査, 縦隔鏡下胸腔鏡検査, 気管支ファイバースコープ, Transbronchial lung biopsyなどである。硬生気管支鏡は, 電球式からグラスファイバー式へと進歩し, ことに小児用としては, ストルツ社製のものが優れている。肺末梢限局性病巣の生検では, 気管支ファイバースコープの開発により, 診断率が飛躍的に向上した。しかし, 直経1.5cm以下の病巣では経皮的針生検, 胸腔鏡下生検や審査開胸を要することもある。びまん性肺疾患に対する開胸肺生検の年次推移は昭和38年から次第に増加し, 49年にピークになった。以後, TBLBの開発により, 開胸肺生検は次第に減少し, 55年には年間1例となった。しかし, TBLBの適応と限界が次第に増加し, 55年に年間66例となり, 以後, 開胸肺生検の再増加により, やや減少傾向がみられる。371例のびまん性肺疾患に対するTBLBの成績と115例のびまん性肺疾患に対する開胸肺生検の成績についても述べた。383例の胸腔鏡検査の経験を述べた。これら各種の肺生検法の長所, 短所を述べ, その成績と生検以外の検査成績との対比から, より侵襲の少ない診断法の展望を行なった。

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© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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