ルーチンの胸部X線像は, 胸部全般にわたって病変の見落しを少なくする画質のものが適当であり, この場合に縦隔構造の読影も可能になる。このために高圧撮影が行なわれるが, その効果を十分に利用するためには, 散乱X線の除去や, 使用するX線フイルムと増感紙の選択, 適当な現像処理などが重要である。ただし, このような方法による気管や主気管支などの縦隔構造の見え方の改善には限界があると考えられる。撮影時にX線フィルタを使用することをすすめたい。気管や気管支の読影法の最近の知見を簡単に紹介したが, 肺門部リンパ節については, 解剖学的検討に基づいて作成したシェーマを示し, 葉間リンパ節腫大像などのX線所見を例示した。