気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
レーザードップラー法による気管支粘膜血流測定の検討(気管支血管系 Bronchial vessels の構造と機能)
青木 稔和田 洋巳乾 健二山崎 文郎人見 滋樹
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 8 巻 4 号 p. 622-629

詳細
抄録

レーザードップラー法(LDV)により犬気管支粘膜の血流測定を行ない, 本法の有用性について検討を行なった。LDVは測定手技が容易であり再現性が高く, 短時間で繰り返し測定が可能であった。犬右主気管支を切断後再吻合を行ない, 術前後に気管分岐部, 右上葉分岐部, 右中葉分岐部で粘膜血流の測定を行なった。実験群を気管支吻合部血流の状態が異なると考えられる3群に分けた。A群では気管支の剥離を最小限にし気管支動脈や周囲結合織からの血流を可及的に温存したがB群では気管気管支を広範に剥離し気管支への血流を遮断した。C群では広範剥離を行ないさらに気管支吻合部に有茎性大網の被覆を行なった。A群では術前の血流が術後も良好に保たれていたがB群では著明に低下し, C群ではB群に比べ血流の改善が明らかであった。また, LDVにより得られた術後血流値は, 気管支吻合部の治癒状態と密接に関連していた。LDVは, 気管支形成術後の気管支粘膜の血流状態の客観的評価や, 種々の気管支病変における血流の研究において有用な手段となりうると考えられた。

著者関連情報
© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top