気管支学
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経内視鏡的水素クリアランス法による気管支粘膜下組織血流量測定に関する試み(気管支血管系 Bronchial vessels の構造と機能)
小林 幹夫加藤 士郎大井田 史継原沢 寛中元 隆明
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1986 年 8 巻 4 号 p. 613-621

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抄録

水素ガスクリアランス法を経気管支鏡的に応用し, 基礎的検討として雑種成犬および臨床応用として呼吸器疾患患者の気管支粘膜下組織血流量(Bronchial Mucosal Blood Flow : BMBF)の測定を行ない, 以下の成績を得た。動物実験(雑種成犬10頭)について計20回のBMBF測定を計4カ所で行なったが, 各部位において連続測定した値の間には, 有意の正の相関があり, 本法による測定値の再現性は良好であった。また, 雑種成犬15頭を用い左右主気管支と左右横隔葉入口部で測定したところ, 測定部位による差は統計学的には認められなかった。臨床応用として呼吸器疾患患者16例について内視鏡的粘膜色調所見により発赤群と非発赤群の2群に大別し, 両群のBMBFを対比したところ, 発赤群は非発赤群に比し統計学的に有意に高値を示し, さらに気管支粘膜の色調所見を, RED, GREEN, BLUEの波長スペクトル分析から客観的評価を行ない, 赤の色調強度比率(%RED)と同部位におけるBMBFとの関係をみたところ, 統計学的に有意の正の相関が得られた。以上の成績により, 本法は局所の気管支粘膜下組織血流情報を得る方法として有用と思われた。

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© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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