抄録
1977-78年の有珠山噴火による貧栄養の火山灰から植物リターを用いてシマミミズ Eisenia foetida (Savigny)の飼育により10カ月にわたって土壌生成試験を行った。ミミズの活動により土壌微生物の活動も促進され, キャスト層が容易に形成された。キャスト層はミミズを投入しないコントロールや火山灰に比べ粒子の細粒化と団粒化が有意に進んで保水性が向上した。無機態窒素はコントロールに比べ約10倍増加し, 可給態リン酸, Ca, K, Mgなどの交換性陽イオンも有意に増加した。これらの結果から, 今後有珠山のような降灰堆積物からなる火山や火山灰を対象に, ミミズの活動を利用し植生の早期回復や緑地の保全へ応用する可能性が示された。