抄録
絶滅危惧植物ミズキンバイの国内の分布確認を行い,その生育立地や生育規模を把握するとともに,開放止水域における群落維持機構について考察した。生育地数は4県で僅か12箇所しか確認されなかった。生育立地の特性は,休耕田,水路,畦畔,溜め池等の水田耕作に関わる生育地点が大部分を占めており,人為撹乱が定期的に行われる農的な土地利用空間が本種の生育にとってより重要であることが示された。国内総生育規模は約2,160 m2と計算され,そのうち約73 %が千葉県に含まれた。弱撹乱地の池沼では,高茎の抽水植物との光競争のない開放水面の中央方向に浮葉を伸ばして群落形成を行うことで,群落を維持してきたものと推察された。