抄録
絶滅危惧植物ツチグリ(Potentilla discolor Bunge)を圃場で栽培し,3年間の実生の個体群動態を調査した。その結果,開花株から60 cm以上離れて発生する実生の割合は1 %で,実生による更新範囲は極めて狭いことがわかった。実生は発芽後1年以内に枯死する個体が多く,1年以上経過した実生の生残率は高くなることが明らかになった。実生の発芽は,植被率が低く裸地に近い場所では多数みられたが,被陰された場所では実生の発芽は確認されなかった。実生による更新によってツチグリの個体群を保全していくためには,裸地に近いセーフサイトを結実株の近くに確保するような土地の管理が不可欠であるといえる。