抄録
第二名神高速道路の滋賀県内では,道路予定地にある従来伐採廃棄処分されていた樹木等を移植活用した樹林復元を目的とした「森のお引越し」と称する森づくりに取り組んでいる。「森のお引越し」では,樹林を構成する高木層から表土に至るまでの森林の階層構造をそのまま移植することにより,地域の自然環境の早期復元を目的とする樹林の復元に取り組んだ。こうした復元樹林と,道路予定地で移植前の既存樹林,滋賀県内で開通後38年を経過した名神高速道路の盛土のり面の自然林である比較樹林の3 箇所の樹林について,樹林構成,植生遷移,土壌動物の生息環境の視点から調査,比較した結果,既存樹林と同程度の樹林が構成され復元されていると評価できた。この既存林の有効利用による「森のお引越し」の実施により,既存樹林の樹種構成が早期に復元されただけでなく,多種多様な動植物が生存する樹林環境の早期復元を行うことができ,自然環境復元技術の新たな可能性を確認することができた。