米国では,水辺林の有する生態学的機能を維持するために,水辺緩衝林帯の保全, 整備を目的とした多くの指針や法令等基準値が導入されている。本論では,これらをレビューし,米国における水辺緩衝林帯管理に関する最新の方法や考え方を明らかにするとともに,我が国への導入の可能性に関して検討することを目的とした。米国では,主に,1)水質保全,2)河岸の安定化,3)水域の生息地保全,4)陸域の生息地および生態的回廊の保全を目的に水辺緩衝林帯の保全, 整備が検討されており,それぞれについて緩衝林帯幅の基準値が設定されている。また,これらの基準値に加えて,流域における緩衝林帯の配置の考え方や整備する植生の種類も併せて検討されている。このような指針づくりや法制化と並行して,奨励制度や教育プログラム等のソフト面での施策の充実も図られており,法令等の実効性をより高めている。我が国においても水辺林の重要性に対する認識が高まってきているが,これらの社会的要請にこたえるためにも,水辺緩衝林帯の保全, 整備に対する指針の策定が望まれる。
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