日本緑化工学会誌
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論文
北海道の希少種であるムラサキモメンヅル種子の休眠打破と発芽後の生育
近藤 哲也竹内 清夏
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2004 年 29 巻 4 号 p. 495-502

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抄録
ムラサキモメンヅルは「北海道レッドデータブック(2001)」において希少種に位置づけられているが, 渡島支庁の渡島大島では,島内の各所に大規模な個体群が確認され,造成によって裸地化した場所にもいち早く定着している。このことは,本種は北海道での希少種であると同時に自生地周辺の植生回復材料としても有望であることを示唆している。本研究では,本種の保護と植生回復材料としての可能性を探るために,種子の発芽条件とその後の生育に関する実験を行った。種子は硬実休眠を有しており,無処理の種子は10%以下の発芽率であった。硬実休眠は凍結, 解凍処理によっては打破できなかったが,濃硫酸に20-90分間浸漬することで播種後6日以内に100%近い発芽率を得ることができた。電子顕微鏡による観察によって,濃硫酸処理は種皮に穴や亀裂を生じさせていることが示された。休眠を打破された種子は10-30℃の温度で播種後10日以内に90% 以上の発芽率を示し,14カ月間貯蔵後でも90% 以上の発芽率を維持した。野外のセルトレイに5月25日に播種し,発芽した実生を圃場に移植した結果,翌年の10月には10個体のうちの6個体が開花結実した。
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© 2004 日本緑化工学会
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