抄録
本研究では,1996 年に施工した緑化工試験地における施工後8 年間の土壌の性質の変化を調査した。緑化工試験地では,法面にマサ土を客土し,アカメガシワ区,ヤシャブシ区,アカマツ区,草本区,対照区(裸地)の5 つの緑化工試験区を設置した。施工3 年までは各区とも侵入草本の除草を行ったが,3 年目以降は行わなかった。各緑化工試験区で土壌化学性と土壌微生物バイオマスC(以下バイオマスC)を継続的に測定するとともに,施工8 年後の緑化工試験区の測定値を関西地域の4 タイプの森林における測定値と比較した。その結果,緑化工試験区間における違いは認められなかった。施工後8 年間で全炭素含有率,全窒素含有率,バイオマスC がいずれの緑化工試験区でも経年的に増加したが,森林土壌に比べて低かった。ただし,緑化工試験地では全炭素に対するバイオマスC の割合が高い特徴がみられた。このことは,緑化工試験地の養分循環における微生物バイオマスの役割が大きいことを示唆していた。