日本緑化工学会誌
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播種工による法面緑化とモニタリング手法
吉田 寛
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2005 年 30 巻 3 号 p. 532-540

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抄録

代表的な法面緑化手法である播種工は,その歴史的変遷を整理すると,1)播種工の創成期(1927- 1948),2)近代緑化工の普及期(1949-1958),3)外来草本類を用いた急速緑化の普及期(1959-1985),4)早期樹林化方式によるマメ科低木林形成の普及期(1986-1995),5)自生種を用いた自然回復緑化の発展途上期(1996-)に大別することができる。こうした中で,法面の急速緑化から早期樹林化方式の緑化への移り変わりに応じて,1972 年に発行された公的な指針である「のり面工, 斜面安定工指針」の成績判定の目安も,植被率重視から成立本数重視へと改訂された。その結果,1990 年以降に報告されるようになった施工事例の多くでこれに記載されている成績判定に必要な調査が行われ,植物社会学的手法は用いられていない傾向がみられる。近年では,法面緑化の主たる目的が侵食防止から自然回復緑化へと進化しつつあるが,自然回復を評価するためには,緑化工施工後の成績判定はもちろんのこと,初期緑化目標に導くための植生誘導管理や最終緑化目標の達成に向けた監視的管理において,植生遷移が順調に進んでいるかどうかを判定することが重要となると考えられ,そのためのモニタリング手法の確立が求められる。

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© 2005 日本緑化工学会
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