神奈川県北西部にあたる丹沢山地は神奈川県の重要な水源林である。しかし, 1923年に起きた関東大震災やその後の降雨などによって崩壊や土石流が多発した場所であり, 現在も多くの崩壊地が残存しているため, 森林地帯が本来持つ十分な水土保全機能が発揮されていないと考えられる。本研究では西丹沢山地玄倉川仲の沢流域約370haを対象とし, 崩壊地の植生回復過程を明らかにすることを目的とし, 航空写真による崩壊地の変遷調査と残存する崩壊地の植生回復状況を調べる現地調査を行った。崩壊が発生した後, 短期間で植生が回復する崩壊地と残存する崩壊地の違いは崩壊面積の大きさ, 傾斜角や斜面方位, 標高が要因として大きく関与していた。