2006 年 32 巻 1 号 p. 179-182
多自然型川づくりにおいて,植生ブロックと覆土によって緑化が行われる事例が多く見られる。岩手県遠野市 (旧宮守村) を流れる宮守川における植生ブロックと覆土による事例を調査した。その結果,水際部の覆土は失われ,定着する植物は陸生の外来種が多い傾向が見られた。水際部の植物群落は,水辺エコトーンとして多様な機能の発揮が期待できるが,そのためには水域に進出し,水との接触が可能な種の定着が必要である。水辺エコトーンの早期形成と,陸生の外来植物優占の回避とのために,現地周辺に自生する水域に進出可能な植物の植栽が一手法として有効であることが明らかになった。