日本緑化工学会誌
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特集「積雪寒冷地における緑化工技術の現状と課題」(II), GISを用いた北海道音更町における耕地防風林の評価
辻 修宗岡 寿美武田 一夫土谷 富士夫
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2007 年 32 巻 3 号 p. 404-411

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抄録

日本の最北端に位置する北海道の十勝地方音更町において,GIS 上に耕地防風林のデータベースを構築することにより,その実態を明らかにし,耕地防風林の減少に歯止めをかけることを目的とした。その結果,音更町の耕地防風林延長は,1995 年が242.3 km,2003 年が255.0 km であり,この8 年間で12.7 km 増加した。耕地防風林樹種別延長割合は,2003 年度においてカラマツ (Larix kaempferi (Lamb.) Carriere) 74.9%,シラカンバ(Betula platyphylla sukatchev var. japonica (Miq.) Hara)9.5%,トドマツ (Abies sachalinensis Fr. Schm.) 3.0%,アカエゾマツ (Picea glehnii (Fr. Schm.) Masters.) 0.5%,その他12.1% であった。耕地防風林延長を樹高別で比較すると,この8 年間において樹高20 m 以上の耕地防風林は54 km も減少したが,10 m 以下の耕地防風林は7 km しか増加しなかった。耕地防風林の減風効果領域は延長と逆に,この8 年間で1,423 ha も減少した。耕地防風林の減風効果領域と風害発生箇所の関係より,耕地防風林が風害防止に効果を発揮していることが再確認できた。

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© 2007 日本緑化工学会
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