抄録
河川改修 (ダム建設・低水護岸・水制) が砂礫地を更新地とする絶滅危惧樹種ケショウヤナギ (Chosenia arbutifolia (Pall.) A. Skvorts.) に及ぼす影響について検討した。その結果,ダム建設後では,ピーク流量が減少し,攪乱規模・頻度が大きく低下した。これによって,樹林地は増加し,砂礫地は減少していることが示された。他方,低水護岸および水制の施工5~6年後には,ケショウヤナギの実生・稚樹が高密度で侵入している箇所も確認された。砂礫地の減少はケショウヤナギ更新地の減少につながることから,今後は自然攪乱に代わって,水制・護岸等の河川改修を人為攪乱と位置付け,ケショウヤナギの更新地造成を検討する段階にあると考えた。